真空管アンプ(チューブアンプ)とトランジスタアンプ(ソリッドステートアンプ)がギターアンプの主流ですが、音の迫力や幅、質感から真空管アンプを選ぶギタリストが世の中ではメジャーだったのが、これまでの音楽業界でした。
ある時期から「アンプシミュレーター」というのが流行り始め、有名どころだとLine6の「POD」というもので、色々なギターアンプの音を一つの機材で再現しようというものでした。
しかし、このアンプシミュレーターも「デジタルっぽい音」とか「真空管の暖かさがない」という意見が多く、どうしても真空管アンプに近づけないものがありました。
ですが、最近は技術が進歩していて真空管アンプと遜色のない音を出せる機材が増えてきました。
今回はそんな最先端のギターアンプを始めとするオススメの機材を紹介していきます。
そもそもアンプシミュレーターやモデリングアンプとは?
機材を紹介する前にこれらの言葉を説明します。
先ほども少し触れましたが、「アンプシミュレーター」とは疑似的に複数のギターアンプのサウンドを一つのギターアンプやエフェクターで再現したものをいいます。
この機能を持ったギターアンプを「モデリングアンプ」といいますが定義は特になく、アンプシミュレーター=モデリングアンプと思って間違いないでしょう。
しかし、ギターアンプと呼べるものと、そうでないものがあるのでこちらも補足しておきます。
まず、アンプシミュレーターとして音を作る部分である「プリアンプ」と音の信号を増幅させる「パワーアンプ」が一緒になっているものがあります。
このタイプはキャビネット(スピーカー)に繋げば音を出すことが可能です。
アンプヘッドと同じですね!
それとは別にパワーアンプがない、プリアンプのみのものがあります。
主にラックタイプがこのタイプに当てはまります。
コチラはギターアンプというより、どちらかというとエフェクターに近いのですが、音の再現性や機能に違いはほぼありません。
キャビネットから音を出したい場合は、パワーアンプを用意して同じラックに入れて運用するか、エフェクターのように別のギターアンプに繋いで音を出します。
※プリアンプを別のギターアンプを使用する場合、そのギターアンプにSENDとRETURN端子が付いていればこれにつなぐとことをオススメします!
このように一つの機材にアンプシミュレーターや各エフェクターを内蔵していて、これらの音をプログラムで組み合わせることのできる機材を「マルチプロセッサー」と呼びます。
では、実際の機材を紹介していきます!
Kemper
最初に紹介するのはデジタルギターアンプに革命をもたらした「Kemper」です!
スピッツを始め多くの人気アーティストが使用する人気のマルチプロセッサーです。
このアンプの最大の特徴はギターアンプの音をコピー(プロファイリング)できることです。
どういうことかというと、例えば高級な真空管アンプであるマッチレスのアンプがあったとしましょう。
それにマイクをたててKemperに録音させると、音の解析をしてくれてマッチレスと同様の音をだせるようになるのです!
「真空管アンプとはやっぱりちがうでしょ?」と言いたくなるなるかもしれませんが、本当にそっくりなんですよ。
実際に使用している方の演奏を聴きましたが、本当にデジタルなの?という感じでした。
出している音に対しても実物のギターアンプと同様にイコライザーの設定やゲインの設定がツマミでできるので、感覚的にも扱いやすいと感じました。
真空管アンプを持っていなくても欲しい真空管アンプの音を手に入れることができます。
実はKenperに使えるアンプの音はネット上に「リグ」と呼ばれるものでたくさんあるのです!
世の中のKemperユーザーの方がプロファイリングしたリグがネットにたくさんアップロードされています。
専用のアプリケーションから憧れのギターアンプのリグを見つけたらネットからダウンロードし、リグの管理をしたり、自分のKemperに取り入れることで欲しい音を再現できてしまいます!
この機能が本当に凄すぎです!
さらにエフェクターの機能も内蔵されているので、マルチエフェクターとしての側面も持っています。
別売りのフットスイッチを使えばエフェクトとアンプの組み合わせを自在に操れます。
これ一台とギターがあれば事足りるので荷物が少なくてすみますね!
Kemperにはアンプヘッドタイプ(上の画像)とラックタイプ(下の画像)がありますが、操作性や機能に違いはありません。
違いはパワーアンプが有るか無いかです。
ライブでもレコーディングでも使うという方はパワーアンプが付いているヘッドアンプタイプの方が使いやすいでしょう。
宅録やラインでの音だしがメインの方はラックタイプが適しています!
FRACTAL AUDIO SYSTEMS AXE-FX III
続いてはFRACTAL AUDIO SYSTEMS(フラクタルオーディオシステムズ)のご紹介です。
このメーカーの「AXE-FX III」はKemperとの人気を二分するマルチプロセッサーです。
こちらはラックタイプのものしかないため、ライブでギターアンプのように使いたい場合は、別にパワーアンプかギターアンプを準備する必要がありますが、機能としてはKemperに引けをとらないものになっています!
まず、ギターアンプの再現性ですが、有名なギターアンプのモデリングはほぼプログラミングされています。
さらに細かなセッティングができるようにもなっていますよ。
具体的にはプリセットが1024もあり、内蔵してあるアンプタイプとエフェクターの組み合わせを無数に作ることができます。
別売りとなってしまいますが、フットコントローラーがあればこれらの機能を余すことなく使えるため、ライブでも活躍します!
また、カラーディスプレイのため、視認性がいいのもポイントです。
アンプやエフェクターのセッティングを追い込むことができる機材なので、視認性がいいのはとても助かりますね。
重いギターアンプやエフェクターボードを持ち歩いているのが辛いという方はKemper同様、フラクタルもご検討してみてはいかがでしょうか?
Line6 Helix
line6からHelix(ヒリックス)のご紹介です。
こちらも先ほどまで紹介したKemper、 FRACTAL AUDIO SYSTEMSに並ぶほどの機能をもっているマルチプロセッサーです。
デュアルDSPの搭載で真空管アンプのサウンドから最近の人気アンプまで忠実な再現や、ギターの演奏のタッチ感を繊細に表現できるとのことで、まさに音には妥協がないといった性能です。
操作性や各プログラムのエディットも簡単にできる工夫がされていて、操作が直感的にできます。
また、パソコンを使っての編集も容易にできるようになっています。
さすが、一世を風靡したPODを生み出したメーカーだけあって使い勝手が良さそうですね!
ラック式には別売りのフットスイッチを繋げることで機能をフルに活用できます。
このフットスイッチもLEDの色を設定できるため、視覚的に操作ができます。
とても分かりやすいですし、見た目もカッコいいです!
ラック式の他にフットスイッチとHelixの機能を一緒にしたマルチエフェクタータイプの「Helix FLOOR」もあります。
普段、マルチエフェクターをメインで使用している方にとってはこちらの方が扱いやすいのではないでしょうか!
Hughes&Kettner BLACK SPIRIT 200
以前のギターアンプを紹介した記事でも少し触れたギターアンプです。
ギターアンプを紹介した記事はコチラから!
【初心者向け】有名なギターアンプをご紹介!定番からブティック系まで一挙に紹介します!
Hughes&Kettnerの音を独自の技術によりアナログ回路で忠実に再現されているモデリングアンプです!
デジタルアンプとはちょっと違いますが、機能はまさに未来のアンプです!
その機能ですが、出力は200W/20W/2Wから選択できるので、自宅の練習から、ライブまで十分に対応できます。
エフェクターも内蔵されており、リバーブ、ディレイといった空間系から、コーラス、フェイザー、フランジャー、トレモロといったモジュレーション系も充実していて、アンプのパネルから簡単にコントロールできます。
これらに加えノイズゲートも付いていて、プリセットは128通りも可能となっています。
また、このコントロールはipadやandroidがあればBluetoothで接続し、これらからも操作ができるため、気に入ったサウンドをメモリしておいてすぐに呼び出すことができます。
機能はまだまだありまして、アナログアンプでは実装が初の「サギング機能」が搭載されています。
これはパワーアンプサギングという現象を再現したもので、真空管に高い負荷がかかった状態で、真空管への電源電圧が急激に低下することを指すそうです。
これにより歪みのキャラクターが変わるため、音楽的な表現を広げることができます!
他にもキャビネットシミュレーションが8種類あるため、レコーディングの際にキャビネットを準備しなくて済みます。
重さもたったの3.6kgしかないため、これまで重たいアンプヘッドを持っていた方には、重さから解放されますよ!
真空管アンプのように定期的なメンテナンスは不要なので、取り扱いも非常に楽です!
また、エフェクターのように使用できる「BLACK SPIRIT 200 FLOOR」もあります。
こちらはヘッドアンプとMIDIのフットスイッチが一つになったもので、こちらもちゃんと「アンプヘッド」であるため、キャビネットに繋いで音を出すことが可能です!
ヘッドとMIDIフットスイッチを持ち歩くことをしなくていいため、荷物を最小にしたい方にはオススメです。
Fender TONE MASTERシリーズ
fenderには有名なギターアンプがいくつもあり、それを愛してやまないギタリストが世界中に多くいます。
そんなfenderの真空アンプを最新のデジタル技術で音を再現したシリーズがTONE MASTERです。
このシリーズは現在「Deluxe Reverb」、「Twin Reverb」、「Super Reverb」の3タイプがラインナップされています。
見た目と機能はオリジナルのまま、音を作る部分が真空管からデジタル回路になったというものです。
これが本当に凄いんです!
まず、それぞれのアンプの特徴を忠実に再現しているところです。
例えば、Deluxe Reverbのボリュームを上げていくと軽くクランチしてくるサウンドというのが特徴なのですが、それも見事に再現されています。
そして名前にあるとおり、「リバーブ」がfenderのアンプの特徴ですが、本当にアナログのようなスプリングリバーブの良さが再現されています。
このアンプにはデジタルアンプならではの装備も充実しています。
スタンバイスイッチの代わりにミュートスイッチがついているため、ギターケーブルの抜き差しや、他の機材との接続に対していちいちボリュームを下げる必要がありません。
また、出力を押さえられるツマミがありますので、本番環境で鳴らせる音の質はそのままに、自宅での練習も可能です。
ほかにも、レコーディング用のラインアウトやキャビネットシミュレーターも付いています。
このようにデジタルの技術が活かされていますが、それぞれのワット数やスピーカー数、大きさは従来と変わらないので、感覚的に使用ができます。
さらに真空管の回路を排したことで重さもオリジナルのアンプの半分程度になっています。
例えば、オリジナルのDeluxe Reverbは約19Kgあるのに対し、TONE MASTERは約10Kgに、Twin Reverbはオリジナルが約30kgであるのに対し、TONE MASTERは15Kgです!
さすがにアンプとして木材やスピーカーがあるので、凄く軽い訳ではありませんが、それでも従来のアンプを慎重に扱いながら汗だくになって運んでいたのを思うと衝撃の軽さです。
片手で持ててしまいますよ。
このアンプは従来のギターアンプと同様に使いたいけど、真空管のデリケートさや重さから解放されたいという方にはうってつけのギターアンプです!
実際に私はTwin Reverb TONE MASTERを所持していますが、エフェクターの乗りもバツグンですし、なにより、音がオリジナルTwin Reverbそのままなんです!
Fenderのアンプが欲しいと思っている方はぜひ検討してみてください!
このアンプについては別途、詳細は記事を執筆を予定しています!
最後に
最新のギターアンプやアンプシミュレーターのオススメを紹介してみました。
真空管アンプと同様の音がだせて、他の機能も充実していたりと、これまでの真空管アンプが時代遅れのように感じてしまいますが、真空アンプが持っている魅力はたくさんあるので、実際に音を聴いたり、音を出してみることをオススメします。
しかし、真空管ではない、トランジスタやデジタル回路のアンプだからこその扱いやすさや汎用性もあるのも事実です。
重量が軽いことやメンテナンスフリーであること、他の機材をたくさん持ち歩かなくて良くなるのは大きなメリットだと言えます。
機材のことを知ってギター生活を豊かにして頂ければ嬉しいです♪
皆様の素敵なギターライフを願っております。
最後まで読んでいただきありがとうございました(^^♪
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